マニラには現在オカダマニラを含め4つのカジノリゾートが存在します。オカダマニ以外の3社はすでに営業を開始して数年の実績があります。一方、オカダマニラは2017年に開業はしましたが今後の成長見通しなどまだまだ明らかになっていないことが多いです。そこで、各社の決算資料からオカダマニラの3年後(2020年12月期)を妄想してみましょう。
マニラ近郊のカジノリゾート3社について
マニラに現在あるカジノリゾートは
- City of Dreams Manila (Melco Resorts - 2015年グランドオープン)
- Solaire (Bloomberry Resorts - 2013年オープン)
- Resorts World Manila (Travellers International)
- Okada Manila (Tiger Resorts)
となります。このうちResorts World Manilaはほかの3社とは異なり、ニノイアキノ国際空港すぐそばにあります。ほか3社はマニラ湾沿いのエンターテインメントシティに位置し、ここのは2019年にエンターテインメントシティ最後のカジノリゾートとなる Westside City Resorts World(Travellers International)が建設される予定です。
マニラ3社の売上高推移とオカダマニラ
2015年から2017年までの各社の売上高は次の通りです。
過去3年 売上高実績(単位は千USD)
なかでも、City of Dreams Manila の売上高の伸びが著しく、63.52% (2016) → 32.19% (2017)となります。対する、Solaire はすでに比較的安定しており19.89% (2016) → 19.90% (2017)となります。
Resorts World Manila は発砲・放火事件の影響を引きずっており、売上高成長がマイナスとなっています。
マニラのカジノ銃撃 30人以上の遺体発見 - BBCニュース
マニラ3社の営業利益推移とオカダマニラ
次は営業利益を見てみましょう。
過去3年 営業利益実績(単位は千USD)
直近2015年に開業した City of Dreams の営業利益が参考になると思うのですが、-$39 million (2015)に対して Okada Manila は -$129 million (2017)となっています。ここで思い出したいのは私募債の高金利負担です。過去のエントリで確認しましたが、負債1600億円、年間100億円ちかい金利負担(金利12% + 8.5%)がありました。
これがもしなかったとすると$2桁 millionの赤字ですから、やはりCoD Manilaの開業年と同じ水準であることが分かります。CoD Manilaは2016年には営業利益黒字化しています。
今回、私募債の早期償還を行ったことでこの金利負担の重しが取れますから、早期に黒字へと転換することが期待されます。
マニラ3社とオカダマニラの今後の売上予測
ここからは鉛筆ナメナメなのですが、2018年に市場全体で25%成長率となりそこからピークが少しずつ鈍化していくように傾斜をかけて成長率を割り当てていきます。
オカダマニラの2018年は、City of Dreams Manilaが開業翌年の2016年にそうであったように60%の売上高成長を見込んでいます。2019年にはホテルの全室開業が予定されていますから成長率は引き続き高い水準にあるものとします。2020年は正直適当です。
今後3年間 売上高前年比成長率予想
今後3年間 売上高予想(単位は千USD)
マニラ3社の営業利益率
City of Dreams、Solaireの営業利益率はどちらも23% (2017)程度です。Resorts Worldも事件前は19%ありました。開業翌年の City of Dreams Manila の営業利益率は14%でしたので、Okada Manila の営業利益率を2018年10%、その後23%とします。
過去3年間 営業利益率
すると、今後予想されるオカダマニラと各社の営業利益は次のようになります。
今後3年間 営業利益予想(単位は千USD)
市場全体の伸びとオカダマニラの伸び
とまあ、鉛筆ナメナメ数字を積み上げてみましたが正直適当です。というか、楽観的すぎる予測かもと思っています。特にオカダマニラの成長率を60% → 50% → 40%と置いている部分。今年50 - 60%程度は行けるでしょうが、その後の伸びは正直全く不明です。希望を加味してこの数字にしてみました(笑)
ツイッターで親愛なるユニバホルダーに意見を伺ったところ次のような返答を頂きました。
もう少し行けると思います。ソレアの3年後にCODその後3年後にオカダと立て続けに大型カジノ供給されたので市場の成長、需要が供給に追いつかなかった面はありますが今後は供給は3年以上はなく、あと一箇所のみでその後は建設予定すらありません。既存各社利益面では加速すると思います
— tigerthooth (@yasukita98) 2018年4月15日
tigerthoothさんの意見は私の予想より少し強気なようです。市場の伸び+既存施設からの流入をより見込んでいるのかと思います。現地の事情を誰よりもご存知ですから励まされます。
一方、リラクマさんは少し弱気です。
EBITDAではいけそうですが営業利益では難しいかなと考えています。(あまり調べず償却費考えてるんで適当ですが)
— リラクマ (@keikorirakuma) 2018年4月15日
こちらが各社のEBITDAです。
過去3年間 EBITDA(単位は千USD)
たしかにEBITDAで見れば150 - 200億円は、上位2社が軽々達成している水準ですから、Okada Manilaがここまで行くのは問題なさそうですね。問題は減価償却費ですが、オカダマニラは他の施設よりも巨額な投資を行っているため、償却費の負担はより重そうです。このあたりの開示がより詳細になってくると将来の見通しもより鮮明になってくることでしょう。
追記
この記事を公開後、アフロ田中(@gonkb)さんからもご意見いただきました。
分析ありがとうございます。
— アフロ田中(田中広) (@gonkb) 2018年4月15日
出先なので半年前適当に計算した売上をのせます。これはドイツとPAGCORの市場予測にシェアを掛けて計算しています。すでにokadaがズレていますが。
利益はカジノにより土地の持ち方や減価償却が異なるため比較断念しました。 pic.twitter.com/PChsjR7EBL
GGRシェアの数値は非常に納得感がありますね。問題は、ここまで到達するのに何年かかるのかですね。資金調達不安もなくなりますし、ここから一気にトップラインを延ばしていってほしいと思います。
参考:
Download Manager | Bloom Berry
Melco Resorts & Entertainment | Investors | Annual/Interim Reports
Morgan Stanley bullish on Philippines’ casino GGR for 2018 - CalvinAyre.com
<関連記事>